【完全ガイド】業務用乾燥機の仕組みと選び方を紹介|専門メーカー7社の概要を説明

務用乾燥機は、ホテル・病院・工場・福祉施設・コインランドリーなどで大量のリネンを短時間で乾燥させるために欠かせない設備です。 一方で「ガス式と電気式はどう違うの?」「自宅にも設置できるの?」「値段の目安は?」など、多くの疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。 この記事では、「業務用乾燥機」「業務用乾燥機 選び方」「業務用乾燥機 ガス」「業務用乾燥機 値段」「業務用乾燥機 電気」などの検索ニーズをもとに、わかりやすく解説します。


1. 業務用乾燥機とは?家庭用との違い

業務用乾燥機は、1日に何度も稼働することを前提に設計された高耐久・大容量タイプの乾燥機です。家庭用が1回/日程度の利用を想定しているのに対し、業務用は10回以上の連続稼働にも耐える構造になっています。


項目家庭用乾燥機業務用乾燥機
想定稼働回数
(10年間)
約3,000回(1日1回) 約30,000回(1日10回)
法定耐用年数 6年 13年
主な熱源 電気(ヒーター式、ヒートポンプ式)、ガス ガス・電気(ヒーター式、ヒートポンプ式)・蒸気
対応容量 3〜10kg前後 10kg〜120kg以上
設置条件 排気ダクトが必要(特にガス式)、ヒートポンプ式はダクト不要 専用ダクト・排気経路が必須


家庭用乾燥機について詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
 ブログ記事:業務用と家庭用の違いとは?


2. 業務用乾燥機の仕組みについて

乾燥機は「熱源で空気を温め、その温風をドラム内に循環させる」というシンプルな原理ですが、業務用は効率と安全性が大きく異なります。


乾燥の仕組み:洗濯物が乾くシンプルなステップ

務用乾燥機が大量の洗濯物を短時間で乾かすプロセスは、シンプルかつ強力な熱と空気の循環に基づいています。

・【熱風の生成・送風】 熱源(ガス、蒸気、電気)で強力に加熱された高温の熱風が、強力なファンによって回転するドラム内へ送り込まれます。

・【水分との交換】 熱風が洗濯物に接触し、水分を奪い水蒸気へと変えます。ドラム内では衣類が常に撹拌(かくはん)されているため、熱風が全体に行き渡ります。

・【湿気の迅速な排出】 水分をたっぷり含んだ(湿度の高い)空気は、すぐに強力な排気システムによって機外へ強制的に排出されます。

この「強力な熱風を送り込む」と「湿気を迅速に排出する」サイクルを繰り返すことで、常に最も乾燥能力の高い状態が保たれ、大量の洗濯物でも短時間で乾燥が完了します。


乾燥効率を高めるための技術

・大容量ドラムと撹拌の工夫: 大型ドラムで洗濯物がゆったりと回転するため、熱風と衣類の接触面積が最大化され、乾燥ムラを防ぎます。

・温度センサーによる自動プログラム機能: ドラム出口に設置された温度センサーが設定温度への到達を検知し、自動的に次の工程へ移行します。これにより、過乾燥を防ぐとともに無駄な運転時間を削減し、省エネ性能の向上と作業効率の改善を実現しました。
 ※詳しくはこちらの 温度連動ブログラム をご覧ください。

・クールダウン機能: 乾燥の最後に常温の空気を送り、衣類を冷ます工程が入ります。これは、乾燥後の衣類のシワを防ぎ、熱による衣類の傷みを抑える効果があります。


安心して運用するための主要な安全機能

メーカーにより異なりますが業務用乾燥機は、高温を扱うため、過熱や機械的な事故を防ぐための厳重な安全対策が施されています。

・過熱防止装置: 乾燥機内部の温度が設定値(限界値)を超えた場合、自動的に熱源(ガスバーナーやヒーター)への供給を遮断し、加熱を強制的に停止させる機能です。エラー表示とブザー音で異常を通知します。冷風運転へ自動で切り替え、温度の上昇を抑制します。
 
・ドアスイッチ: 運転開始時や、ドアが確実にしまっていない場合、また運転中にドアが開いた場合には、ブザー音とともに機械が全停止します。
 
・送風監視センサ(風量感知装置): リントの詰まりやファンの異常停止などにより風量が低下した場合、ドラム内の温度上昇を防ぐため、機械は自動的に運転を停止します。あわせて、エラー表示とブザー音で異常を通知し、安全性を確保します。
 
これらの機能によって、業務用乾燥機は安全に運用できるよう設計されています。


3. 熱源の種類と特徴

乾燥機を選ぶ際、熱源の選択は非常に重要です。施設の設備環境(ボイラーの有無、電気契約容量、ガス供給可否など)によって、最適な方式は異なります。

ガス式乾燥機
熱効率が高く、蒸気式に劣らない乾燥性能を持ちます。特別な設備は不要ですが、ガス工事が必要です。運用コストは電気式よりも安く、コスト・性能のバランスが最も優れた方式です。ホテル・温浴施設・福祉施設などではガス式が主流になっています。

電気式乾燥機
設置が容易で、特別な配管工事が不要なため小規模施設やオール電化環境に適しています。ただし熱効率が低く、機種によっては乾燥時間が他方式の約2倍かかることもあります。特に寒冷期は効率が落ちやすく、電気代も割高になりがちです。機械本体価格も他方式に比べてやや高価です。

蒸気式乾燥機
外部ボイラーからの蒸気を利用する方式で、非常に高い乾燥能力を持ちます。ただし、ボイラー設置・蒸気配管工事が前提となるため初期投資が大きくなり、ボイラースペースの確保も必要です。既にボイラー設備を持つ病院・工場・クリーニング工場などに最適です。


4. 業務用乾燥機の選び方

業務用乾燥機を選ぶ際は、単に乾燥機の価格だけでなく、総処理量、ランニングコスト、設置環境を総合的に考慮することが重要です。


ステップ A: 熱源(方式)の決定
 ガス式蒸気式電気式
速乾性 〇速い 〇速い(安定性が高い) △ やや時間がかかる
ランニングコスト 〇 比較的安価 ◎ 大量処理で最も安価 △ 高価になる場合がある
初期コスト 〇 標準的 △ ボイラー設備が必要なため高額 ◎ 安価
最適な施設 コインランドリー、小〜中規模のホテル、民間工場、介護施設、理美容など 大規模病院、リネンサプライ工場 小規模施設、ガス・蒸気の導入が困難な施設


ステップ B: 処理量とドラム容量の決定

・1日の処理量計算: 1日に処理したい洗濯物の総重量(乾燥後の重量)を計算します。
例: 1日 300kg 処理したい。

・乾燥機のキャパシティ: 乾燥機の容量(例:30kg、50kgなど)を選定します。容量が大きすぎると、少量の乾燥時に非効率になります。処理量が安定して多い場合は、大型機種を選びます。

・処理能力のバランス: 処理能力は、洗濯機の脱水能力と連動させる必要があります。乾燥機の処理能力が低すぎると、洗濯機が空くのを待つ「ボトルネック」が生じ、全体の作業効率が低下します。

ステップ C: 「全乾燥」か「半乾燥」かを考慮したトータル効率

業務用リネン処理では、乾燥機を「全乾燥」に使うだけでなく、「半乾燥」として使うことで、作業全体の効率(トータル効率)が向上することがあります。

・全乾燥: 洗濯物を完全に乾燥させ、すぐに畳める状態にすることです。

・半乾燥: 仕上げ乾燥、または調整乾燥とも呼ばれます。衣類に残る水分率を10〜30%程度に落とす工程です。
 
アイロンやプレス仕上げを行うリネン(シーツ、テーブルクロスなど)は、完全に乾かすよりも、少し水分が残った状態でアイロン(フラットワークアイロナー)に通したほうが、シワが伸びやすく、美しく仕上がります。
この場合、乾燥機で水分を飛ばす時間を短縮できるため、乾燥機一台あたりの処理サイクルが短くなり、トータルでの効率が大幅に向上します。

【全乾燥・半乾燥の事例】
処理対象乾燥方法
タオル類、ユニフォームなど 乾燥機で全乾燥まで行う。
シーツ、デュベ(包布)、ピローケースなど 乾燥機で半乾燥まで行い、アイロナーで仕上げる。


このように、乾燥機の選定と運用計画は、後のアイロンがけやプレス作業といった後工程全体を見据えて行うことが、最も効率的なリネン処理工場(ランドリー)を構築する鍵となります。


5. 設置前に確認すべきインフラと搬入・メンテナンス条件

乾燥機導入では設置時の条件確認も重要です。特に、搬入経路・排気ダクト・消防署への届出・保守スペースの4点は必ず確認しましょう。
 
① 搬入経路 ドラム式乾燥機は重量・寸法が大きく、扉や通路の幅、高さの確認が必須。建物内の段差や階段の有無も考慮し、クレーン搬入が必要な場合もあります。
 
② 排気ダクト ダクトの長さ・曲がり角度が多いと排気効率が低下し、乾燥時間が延びます。できるだけ短く・直線的に設置することが理想です。他の排気設備と共用しないこと。
 
③ メンテナンススペース 壁・天井・隣接機器との間に十分な保守空間(500mm以上推奨)を確保。吸排気口の前には障害物を置かない。排気熱の影響を受ける場所に電気設備や火災報知器を設置しない。機械上部に物を置くことも厳禁です。
 
④ 届出と資格関係 乾燥機は「火気を扱う機械」として、消防署や労働基準監督署への届出が必要です。
 
 ・消防署への届出: ガス・蒸気式乾燥機は「火気使用設備」として設置前に届け出が必要です。
 ・労働基準監督署への届出: 一定規模以上の乾燥設備では「設置・変更届」が義務づけられています。
 ・乾燥設備作業主任者の選任: 定格消費電力10kW以上(電気)またはガス消費量1㎥/h以上の機種では、   
               「乾燥設備作業主任者技能講習」を修了した者を選任する必要があります。
 ※詳細は各地域の労働基準協会・消防署に必ず確認してください。



主な乾燥機メーカーの特徴

山本製作所
国内製造100%にこだわる唯一の業務用洗濯・乾燥機メーカー。主要部品の多くを自社生産しており、耐久性・修理性・信頼性の高さが群を抜いています。ガス式・電気式・蒸気式のすべての熱源に対応し、用途や設置環境に合わせた柔軟な提案が可能です。また、長期にわたる部品供給体制を整えており、「永久保証に近いサポート体制」と評価されています。

AQUA(旧SANYO)
旧三洋電機の技術を継承した家電系ブランドで、家庭用から業務用まで幅広いラインナップを展開。デザイン性や操作性の高さが特長で、ホテルの客室内ランドリーや小規模施設など、見た目や使いやすさを重視する現場に適しています。ガス・電気・蒸気式すべてに対応し、特に小型機やコインランドリー機のラインナップが充実。

TOSEI
コインランドリー機器の大手メーカーで、設置性・メンテナンス性に優れた製品構成が強み。特に中小規模のランドリー店舗向けに最適化された設計で、省スペースでの設置や運営がしやすい構造を採用しています。また、フランチャイズ型コインランドリーの展開支援にも積極的で、ランドリー経営全体を支えるメーカーでもあります。

エレクトロラックス
スウェーデンに本社を置く欧州を代表する業務用ランドリーメーカー。省エネ性能とスタイリッシュなデザインが特長で、欧州基準の設計思想を持ちます。乾燥機はガス・電気・蒸気の各熱源に対応し、電子制御による温度管理に定評があります。仕上がり品質と外観美を求める施設に導入されるケースが多く見られます。

ダイワコーポレーション
アメリカ発の「Speed Queen(スピードクイーン)」ブランドを取り扱う輸入代理店。高温・短時間乾燥を得意とし、短時間オペレーションを重視する業界の導入が多数です。アメリカ製らしいメカニカルなデザインとシンプルな操作系も特徴。ガス・電気式に対応し、高出力かつ連続稼働に強い構造が魅力です。

アサヒ製作所
医療・福祉施設向けのリネン機器に特化した国内メーカー。病院・介護施設などでの衛生管理や操作安全性を重視した設計が特徴です。乾燥機は電気式・ガス式・蒸気式を取りそろえ、用途に応じた多彩なカスタマイズが可能。

イツミ製作所
中部地方を拠点とする国内業務用洗濯機メーカー。中型乾燥機を中心に展開しており、小規模工場やホテルランドリーの内製化ニーズに対応。国内製造による安心感と、柔軟な仕様変更対応が強みです。


 

6. まとめ:業務用乾燥機を選ぶなら「長期安定稼働」が重要です

業務用乾燥機の導入では、熱源・容量・設置環境・メンテナンス性を総合的に判断し、長期にわたって安心して使えるメーカーを選ぶことが重要です。
 
山本製作所の業務用乾燥機は、 「高い乾燥性能」「高耐久構造」「長期部品供給体制」を兼ね備えた信頼の一台。 国内製造ならではの安定した品質で、あらゆる業種のランドリー業務を支えています。


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