【2025年最新版】業務用洗濯機の容量の選び方とJIMS規格のポイント

あなたの施設に必要な洗濯機の容量は?施設別・洗濯物別のおすすめ容量をチェック!

業務用洗濯機の容量は、施設の規模や洗濯物の種類によって適切に選ぶことが重要です。しかし、容量の表示方法や基準は複数あり、混乱しやすいですよね。本記事では、国内メーカーが採用する「JIMS規格」をもとに、容量の理解と選び方のポイントをわかりやすく解説します。現場で役立つ容量の目安や、国内外の基準比較も紹介し、最適な洗濯機選びをサポートします。
 

洗濯容量の基準は?家庭用洗濯機と業務用洗濯機では違いがあります

まず最初に、洗濯機の「容量」とは、1回の運転で処理できる洗濯物の「重量」のことを指します。
しかし、この「容量」には注意が必要です。というのも、家庭用と業務用では基準となる考え方や表示方法が異なるからです。
 

家庭用洗濯機の容量基準

家庭用洗濯機では、主に以下の規格が使われます。
規格内容
JIS(日本産業規格)       主に日本国内で使われている基準。一定の衣類構成(シャツ・バスタオルなど)を使って容量を評価します。
IEC(国際電気標準会議) 世界的に使われている評価基準。洗濯性能、すすぎ性能、脱水効率なども含めて評価されます。

家庭用では、洗濯機の容量(例:10kg)=「この洗濯機で一度に洗える衣類の乾燥時の質量」です。
一方で、業務用洗濯機はどうでしょうか?



 

業務用洗濯機の容量選びが簡単になる国内規格について

業務用洗濯機の世界では、容量の定義がメーカーごとに異なるという問題がありました。
かつては「大きく見せるために多めに表記する」「慎重に少なめに見積もる」といった具合に、統一された基準が存在しないまま、各メーカーがバラバラに容量を表記していたのです。
これにより、導入を検討するクリーニング業者や施設、ホテルなどの現場では、以下のようなトラブルが起きていました。

 •実際の処理量と容量表示がかみ合わない
 •同じ「20kg」と書いてあっても、メーカーによって洗える量が違う
 •導入後のトラブルや誤解による機種選定ミス

こうした課題を解決するために1975年に制定されたのが、JIMS(Japan Industrial Machinery Standard)です。



 

JIMS規格とは?業務用洗濯機の容量に統一基準をもたらす国内規格

JIMSは、日本産業機械工業会・業務用洗濯機分科会が制定した業務用洗濯機の標準負荷量(=容量)を定めた国内独自の業界規格です。

なぜJIMSが必要だったのか

JIMSが制定された背景には、以下のような業界の問題意識がありました。

 •メーカーごとの基準のバラつきを是正したい
 •正確で公正な容量比較ができるようにしたい
 •実用性に即した設計・機種選定を可能にしたい

そしてこの規格は、30年を超える実績とともに2000年代に見直しが実施され、現在も改善が継続されています。SI単位(kg・m)への移行など、時代の要請にも対応しながら精度の高い基準として進化してきました。
 


IMS規格で定義される「標準負荷量」とは?

JIMSでは、以下の式により洗濯機の容量(標準負荷量)を計算します。
 

 •Q:標準負荷量(kg)
 •f :負荷率(kg/m²)
 •D:内胴の直径(m)
 •L:内胴の長さ(m)
 
洗濯機械の負荷率の例
 •洗濯脱水機:f = 45 + 30D ただし最大値は90とする
 •乾燥機:f = 40
 •ドライクリーニング機:f = 50 など
 
このように、ドラムの実寸を使って客観的に処理可能な重量を求める方式であるため、JIMSによる表示は実運用に即した数値として信頼性が高いのが特徴です。



 

【実用データ】洗濯物の容量目安はどれくらい?

洗濯機の容量(kg)をイメージするには、衣類の種類ごとの「乾燥重量」を知ることが重要です。以下は目安です。
衣類の種類1枚あたりの乾燥重量10kgで洗える目安
フェイスタオル 約0.2kg 約50枚
バスタオル(大) 約0.6〜0.8kg 約12〜16枚
ワイシャツ 約0.2kg 約50枚
作業服(上着+ズボン) 約1.0〜1.5kg 約6〜10着
シーツ(シングル) 約0.5〜0.6kg 約16〜20枚
デュベカバー 約0.8〜1.0kg 約10〜12枚


【事例1】 特別養護老人ホーム

特別養護老人ホームの事例です。定員100名 ショートステイ20名の場合の洗濯物は以下の表が目安になります。

1日の一般洗濯物重量 総重量220.2㎏

衣類の種類対象人数処理量
肌着(上下) 180g 100名 18kg
フェイスタオル 100g 120名 12kg
バスタオル 350g 120名 42kg
おしぼり 25g 120名 3kg
食事用エプロン  110g 120名 13.2kg
パジャマ(上下)480g 100名 48kg
私服(上下)700g 120名 84kg



選定機種

洗濯設備(容量)1日の運転回数必要台数
洗濯機 WN280(JIMS容量:21㎏) 11回 2台
乾燥機 VG253(JIMS容量:20㎏) 11回 2台


【事例2】 食品加工工場

食品加工工場の事例です。従業員300名の場合の洗濯物は以下の表が目安になります。

1日の洗濯物重量 305㎏

衣類の種類対象人数処理量
ユニフォーム(上下) 850g 300名 255kg
帽子 80g 300名 24kg
ウエス 180g 150枚 27kg



選定機種

洗濯設備(容量)1日の運転回数必要台数
洗濯機 WN360(JIMS容量:27㎏) 12回 2台
乾燥機 VG383(JIMS容量:30㎏) 11回 2台


山本製作所では「JIMS+国際スタンダード」の2軸で容量を表示しています

メーカーによっては2軸の基準で容量を表示することもあります。実際、山本製作所では国内市場における正確な処理量の目安としてJIMSによる「標準負荷量」を掲載しています。
一方で、国際市場(特にアジア・欧州)で一般的に使われている容量表示にも対応。これは、次のような経験則に基づいたものです。

海外基準での容量目安(慣例値)
 •水洗機:ドラム体積の1/10(例:200L → 約20kg)
 •乾燥機:ドラム体積の1/20(例:200L → 約10kg)

これは世界中の業務用洗濯機メーカーが採用している実務慣行(industry practice)です。山本製作所では、洗濯機、洗濯乾燥機、乾燥機の新しい製品シリーズのカタログ(8月発行予定)より、海外市場でも比較しやすいよう、この「国際慣例による容量」と「JIMSによる実用容量」の両方を併記しています。

洗濯機の容量には家庭用のJISやIEC、業務用のJIMSや国際基準など複数の表示方法があり、山本製作所では国内外のニーズに対応するために、新しい洗濯機、洗濯乾燥機、乾燥機より両基準を併用し、衣類ごとの重量目安とあわせて、より正確で実用的な容量設計・運用を可能にしています。
 
今回ご紹介した洗濯機の容量に関する情報が、機種選定の参考になれば幸いです。
 

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